介護職に必要とされるコミュニケーションスキルとは

コミュニケーションスキルを身につける

介護におけるコミュニケーションは、相手との良好な関係性を築くうえで非常に重要となる要素。円滑なコミュニケーションをとることで、利用者の方のニーズを的確に捉え、適切なケアを提供できるようになります。また、コミュニケーションは、トラブル防止やサービスの質向上にもつながると考えられます。誤解や行き違いを防ぎ、安全なケアを提供するためにも、日頃からご利用者との関わり方をしっかりと意識したいところです。

介護のコミュニケーションで大切なこと

まず、相手が何を求めているかを理解することが大切です。介護の現場には、言葉でのコミュニケーションが取りづらい方もたくさんいます。言葉だけに頼るのではなく、表情や行動なども注意深く観察しながら、ご利用者の意志を汲み取る必要があるでしょう。
次に、思いやりの姿勢で信頼関係を築くことも意識したいところ。介護職は、人と深く関わる仕事です。常に相手を尊重し、思いやりの心を持って接することで、信頼関係を築くことができるようになります。その際、傾聴や共感の姿勢を持つことも重要です。真摯に向き合う姿勢は、相手に安心感を与えます。利用者の方も自然と心を開いてくれるようになるはずです。
言葉でのコミュニケーションが取りやすいご利用者と関わる際は、質問を織り交ぜながら会話することを意識しましょう。たとえば、「痛みはありますか？」のような閉じた質問をすることで、こちらが知りたい情報をスムーズに得ることができます。「今日の気分はどうですか？」といった開かれた質問では、コミュニケーションが活性化されるのはもちろん、より多くの情報を収集することにもつながるでしょう。
利用者の方と接する際は、安心感を与える態度や姿勢も意識したいところ。穏やかな表情や口調、適切な距離感など、細やかな点にも気を配ることで、相手により良い印象を与えられます。

認知機能が低下している人との関わり方

認知機能が低下している方と接する際には、特有のコミュニケーションスキルが求められます。特に重要なのは、否定しないこと。認知症の方は、現実と異なる認識を持つことがあります。そのような場合でも、頭ごなしに否定するのではなく、まずは相手の言葉に耳を傾け、共感的に対応することが大切です。たとえば、故人である家族のことを話題にされた場合、「その方はもう亡くなっていますよ」と事実を伝えるのではなく、「〇〇さんのことを思い出されているんですね。どんな方だったのですか？」と、相手の気持ちに寄り添うような対応を心掛けましょう。
不用意に否定すると、相手の自尊心を傷つけたり混乱させたりする可能性があります。場合によっては、トラブルに発展するケースもあるかもしれません。理解を示すことで、穏やかなコミュニケーションを図り、良好な関係を築くことができるでしょう。